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第65回全国国保地域医療学会の開催にあたって
第65回全国国保地域医療学会 学会長
和歌山県国保医学会 会長
高垣 有作
(和歌山県:国保すさみ病院 顧問)
このたび第65回全国国保地域医療学会を和歌山市の「和歌山城ホール」で開催する運びとなりました。近畿ブロックは今まで京都、滋賀にご負担をかけてきましたが、今回の和歌山での開催は、2県以外では近畿初となります。
本学会のテーマは、「人口減少地域の生活を守る地域包括医療・ケア~よみがえりの地 紀州・熊野から~」です。
人口減少は日本全体の問題ですが、特に国保直診が所在する地域は、より顕著となっています。医療の無いところでは人々が安心して生活することができず、人々の生活を守るためにも我々が行政、住民と共に直面している問題の良き解決策を模索していく必要があります。和歌山の地で皆様方の衆知を集めて、共有できることを願っています。
サブタイトルを「よみがえりの地 紀州・熊野から」としました。平安の時代、和歌山県南部の熊野地方は樹々が鬱蒼と茂る大自然が故に、この世ではない神々が座す黄泉の国として熊野信仰の中心となっていました。京の都から熊野に詣でる「熊野御幸」は、黄泉の国に往き、生まれ変わって現世に戻る、蘇り(黄泉がえり)を意味します。サブタイトルに地域再生の意味を込めました。
1890年、和歌山県串本の沖で遭難したオスマン帝国初の親善訪日使節団を乗せたエルトゥールル号が遭難し、住民が懸命の救助を行いました。この事件を契機に日本とトルコの友好が深まり、1985年のイラン・イラク戦争時のトルコ航空機による邦人救出劇は、両国の友好を象徴する有名なエピソードと知られています。助け合いの精神は現在も受け継がれており、国保直診の本質だと思います。
本会では、エルトゥールル号事件を題材にした映画「海難1890」の田中光敏監督に講演をお願いしています。
会場となる和歌山城ホールは、紀州徳川55万石の居城であった和歌山城の目の前にあります。懇親会ではライトアップした和歌山城がご覧になれます。城の外周は2kmでジョギングにも最適です。
和歌山にお出での際には、和歌山を良く知って頂きたいと思います。
世界遺産となり多くの方が訪れる「紀伊山地の霊場と参詣道」には、弘法大師空海が開きパワースポットとして知られる高野山や、日本一の落差を誇る那智の滝と熊野古道があり、サッカー日本代表のエンブレムとなっている導きの化身八咫烏は熊野本宮大社所縁です。
万葉集で歌われた和歌の浦や西国一番札所(那智山青岸渡寺、那智勝浦町)、二番札所(紀三井寺、和歌山市)、三番札所(粉河寺、紀の川市)もあります。
また、南紀白浜には、日本で一番多くのパンダが飼育されている白浜アドベンチャーワールドがあり、普通にごろごろパンダがいます。さらに南紀白浜は日本三古湯のひとつで温泉も楽しんでいただけます。
食に関しても全国的に有名な和歌山ラーメン、那智勝浦町は生マグロ漁獲量日本一、太地町は古式捕鯨発症の地、梅干しで有名な南高梅はみなべ町など食材も豊富です。懇親会では生マグロの解体ショーも企画しています。
また、同時期に大阪でEXPO2025が開催されており、ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)も併せて和歌山からお帰りの際にお立ち寄り可能です。
和歌山の地で、知識で頭を満たし、食でお腹を満たし、観光で心を満たしていただきたいと願っています。
皆様の来和、お待ちしています。