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第65回全国国保地域医療学会の開催にあたって
公益社団法人 国民健康保険中央会 理事長
原 勝則
国保直診施設で働く皆様方におかれましては、地域住民の医療の確保と、健康で安心・安全に暮らすことができる地域づくりに、日夜ご尽力をいただいていることに深く敬意を表します。また、国保連合会及び国保中央会の事業運営についてもご理解、ご協力を賜り、心より感謝申し上げます。
さて、我が国の人口は、平成20年をピークに減少局面に入り、2025年の今年、ついに団塊世代全員が75歳以上となられるなど、人口の高齢化と少子化が加速する状況が続いています。医療・介護サービスの需要が急増する一方で、サービスを提供する医療・介護分野の人材不足は年々深刻さを増しています。
こうした人口構造や地域社会の変化を受け止めつつ、高齢者となってもできる限り住み慣れた地域で生き生きと暮らし続けることができるようにする地域包括ケアシステム、さらには地域共生社会を、各地域の実情に応じて構築し、維持し続けていくことが今後ますます重要になると考えられています。そして地域包括医療ケアの先駆者である国保直診施設は、長年蓄積してきた知識と経験を活かしながら、各地域の特性を踏まえて、この時代のニーズに的確に応えていくことが期待されています。
全国国保地域医療学会は、医療従事者はもとより、国や地方自治体、国保連合会など国保直診施設の関係者が一堂に会して、様々なテーマについて議論を行い、日頃の取組や研究の成果等を発表して、直面する課題解決のための処方箋を見つけ出す場であり、また地域医療交流会も含めて関係者が認識を共有し、親交を温める場であります。
令和7年度は、古事記・日本書紀につづられた神話の舞台となった地や、縁の深い神社が数多くある和歌山県での初めての開催となります。和歌山県の人口は、全国よりも早い流れで減少が進んでおり、県では全国に先駆けて2015年6月に「和歌山県長期人口ビジョン」を策定し、「高齢者1人を現役世代2人で支える人口形態」を作らなければならないという考えに基づき、人口減少の抑制と人口減少時代に適応した地域づくりに取り組んでいます。こういった和歌山県の取組から学ぶことは多いと思います。
日々のお仕事でお忙しいかとは思いますが、皆様の国保直診施設の未来にとって有意義な学会になると確信していますので、奮ってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。